社員全員がフルリモート体制。脅威を感じたら社内共有するセキュリティ文化の醸成を目指して。

2022/04/20

事業内容:

ウェブ上で自分のアバターを自由に動かし、相手のアバターに近づけることで簡単に話しかけられる2次元のバーチャル空間を提供。バーチャルオフィスやオンラインイベント空間など、これまでに発行したスペース数は2万件を突破。

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、ニューノーマルなライフスタイルが注目を集めています。「働き方」ではリモートワークが普及し、イベントや授業をオンラインで行うなどバーチャルなつながり方が一般化してきました。そうした背景を受けて今急成長しているのが、バーチャル空間のオフィスやイベントスペースをを提供している oVice株式会社です。回は広報の薬袋さんに、AironWorks 導入の工夫や課題感、効果を聞いてきました。

本日はよろしくお願いいたします。
では早速ですが、事業の概要をご説明いただけますでしょうか。

薬袋さん:oViceは現実空間のようなコミュニケーションができるバーチャル空間を提供している企業です。画面上にユーザーが丸いアバターとなって現れて、そのアバターを介してコミュニケーションするサービスです。現実空間で人と人が近づいて話すのと同じように、相手のアバターに近づくこと会話ができる設計になっています。 また、声でのコミュニケーションと合わせて、ビデオ通話で相手の顔を見ながら話したり、画面共有も可能です。
現実空間と同様に、近い相手の声がよりクリアに聞こえるという点をバーチャル上でも再現しています。バーチャル上のオープンな場所でコミュニケーションをしていると近くにいる誰かの会話が聞こえるようになっていたり、鍵付きの会議室も用意があるので、あまり他の人に聞かれたくないようなお話を1:1でクローズドに行うことも可能になっています。

oViceの使用イメージ。用途に合わせて会議室や個別ブースなど様々な部屋が用意されている。

薬袋さんが現在担当されている業務について教えてください。

薬袋さん私は広報を担当しておりまして、取材対応やメディアアプローチがメインです。たとえば、何かしら「oViceについて聞きたい」といったお話をいただいた時に、事業の概要をご説明させていただくというような感じです。

導入前の課題 - 社員全員がリモートワーク。個々のセキュリティリテラシーもバラバラ。

AironWorksを導入いただくにあたり、セキュリティ面での潜在的な課題はございましたか?

薬袋さん:oViceは社員・業務委託を含め、関係者全員がリモートワークで働いていまして、提供サービスであるoViceに出社するという勤務形態をとっています。いわば、ここがオフィスです。ですので、各人がどこで働いているのかはわからないんです。コミュニケーションはもちろんoViceの中でも行いますが、メールやSNSが基本だったりします。昨今、ソーシャルエンジニアリングや、フィッシング攻撃が増加している中で、リモートだからこそ働き手一人一人が(セキュリティを)意識しなければいけないな、と課題として感じていました。

貴社には海外の従業員の方も多くいらっしゃいますよね。

薬袋さん:はい、そうなんです。セキュリティリテラシーは各人バラバラで、意識している人もいれば、そもそも「情報セキュリティって何?」っていう方もいます。

社内でセキュリティ改革の必要性を感じたきっかけはありましたか?

薬袋さん:たまたま私がコロナ前からリモートワークをしていたからでしょうか。オフィスに出社するような環境であれば、オフィスのネットワークセキュリティである程度管理できます。しかしリモートワークが普及するとそうはいきません。会社の情報資産に会社のネットワークを経由せず自宅からアクセスしていて「これでいいのか?」と思っていました。「これが全社員になっちゃうとどうなるんだろう?」「今って本当に安全なのかな?」という感覚からですね。

薬袋さんのリモートワークの様子。会社にかかわる個人個人のセキュリティリテラシーがなければ、サイバー攻撃リスクは低減できない。

導入プロセス - 社内に反対はなかった

「AironWorks」を知ったきっかけを伺えますか。

薬袋さん:「TechCrunch Tokyo 2021」で御社がoVice賞を受賞されて、CTOの長谷川から提案をもらったタイミングです。もともと「社内のセキュリティ意識向上をどう進めるべきか」という話はしていました。

検討段階で気になったポイントはありましたか?

薬袋さん:SNSを訓練対象にしているところですね。フィッシング対策のセキュリティプラットフォームは多く存在しますが、各個人のSNSを登録してソーシャルエンジニアリングの訓練ができるというサービスに惹かれました。

導入に際して、社内に反対意見や障壁はありましたか?

薬袋さん:なかったですね。「社内にセキュリティ課題があると思うので、使ってみませんか?」という話からトントンと進みましたね。

印象に残っている訓練はありましたか?

薬袋さん:いくつかありますが、採用関連の内容のものが印象的ですね。複数人引っ掛かっていました。あとで聞いたところによると、担当者が採用活動のPRをしていたこともあり「求人への応募がきたー!」と嬉しくなってしまって、喜びからクリックしてしまったそうです。確かにこれは私も含めて、社員みんな引っ掛かっちゃうんじゃないかなと思いましたね。改めて知らない人から連絡が来た際は必ずリンクをマウスオーバーして、そのリンクが正しいものなのかチェックしてもらうように周知しなければならないなと。

導入プロセス後の効果実感 - 不審な連絡を共有する文化に。セキュリティ意識が根付き始めた

「AironWorks」導入後、社内に具体的な変化はありましたか?

社内のメンバーから「こういうメッセージが来ました」「このリンク変なんですけど」「引っ掛かってしまいました」といった連絡が届くようになったり、社内のチャットで共有されるようになりました。そういう意味でセキュリティ意識が根付いている感覚はありますね。怪しい連絡を共有する文化が根付いた、というのは第一歩だなと。万が一何らかの本物の攻撃が来た時に、誰も何も言わず、当事者がメールを削除して流れてしまう、みたいなことはなくしたいと思っています。

セキュリティをご担当の部署ではどういった反応がありましたか?

VPoE(開発責任者)が管理画面を見て「これ、めちゃくちゃいいね!」と言っていました (笑)。AironWorksはデータをエクスポートできるので、担当者がそれを会議に出して、数値を管理・報告する形で利用していますね。

今後のビジョン - 注力していきたい事業・目標

最後に、今後御社で注力していきたい事業について教えてください。

薬袋さん:oViceは「バーチャルオフィスで世界一」を掲げていて、今年度中の達成を目標に、社員一同取り組んでいます。またセキュリティ面では、海外のメンバーも増えてきている中で、外国語対応と教育・啓蒙・周知を積極的に行っていく必要があると考えています。また、万一フィッシングに引っ掛かってしまった場合に、それを検知・特定できるような仕組み作りをしていきたいと思っています。

AironWorksもグローバルなコミュニケーションをご支援できるように、アップデートを重ねていきます!本日は大変貴重なお話をありがとうございました!

※文・写真は取材時のものです。

取材:マーケティング部 狩野